ハチは地球上に欠かせない生き物です。それは、生態系の面での重要性はもちろんのこと、自然環境を保持してくれるという点でも。
今回の記事では、ハチが関わる食物連鎖や自然環境、そして人間の社会や街との関係について紹介していきます。
食物連鎖におけるハチの存在
昆虫の中では食物連鎖の上位にある
ハチは食物連鎖の中において、昆虫という狭いグループの枠で見てみると、上位に位置していることが分かります。
例えば、スズメバチに着目してみると、他の虫の幼虫などを捕食して食べます。そしてその他の昆虫からスズメバチは捕食対象になるわけではありません。このことから、ハチは昆虫の中では優位な存在だと考えられるのです。
ただ、スズメバチがミツバチやアシナガバチの巣を襲撃するなど、ハチ同士でも食物連鎖における上下関係があります。ですので、同じハチといっても全てのハチが食物連鎖の上位に居るというわけではありません。
天敵となる動物も存在している
昆虫という狭い枠の中では、ハチは食物連鎖の上位に居ます。しかし、そこから視野を広げて動物などを含めて見てみると、ハチを捕食する天敵となる動物が存在しています。
ハチの主な天敵として知られているのが、鳥や熊です。熊はハチの幼虫を好んで食べることが知られていますし、鳥の中ではハチに強い耐性を持っているハチクマという猛禽類が居ます。
また、私たち人間もハチよりも上位の存在として位置しています。危険性のあるハチを駆除するということはもちろんのこと、特定の文化圏ではハチの子を食料として食べることもありますので、人間もまた食物連鎖の関連図においてハチの上に居る、いわゆるハチの天敵となるのです。
自然環境とハチの生態の関係
植物の生殖に欠かせ無いハチ
ハチの生態は、密接に自然環境と関連していることが知られています。その一つであるのが、植物の生殖についてです。
皆さんもご存知の通り、植物の多くは雌しべに花粉が付着することによって生殖し、子孫を残すことができます。その行程を、ハチに完全に依存している植物が多く存在しています。これは、ミツバチが花の蜜を吸う性質があり、その蜜を吸いに花に寄って来た時、花粉をハチの体に付着させて別の花の雌しべに花粉を届けて貰えるからです。
もしもハチが居なくなってしまうと、植物は花粉を雌しべへと届けることができませんから、生殖ができずに子孫を残すことができなくなってしまいます。
害虫駆除の役割も担う
スズメバチやアシナガバチは、ハチミツを採取しない代わりに他の虫などを捕獲して餌にしています。その生態が、実は環境保全にも役立っているという事実があります。
世の中には、農作物をダメにしたり人間に危害を加える、害虫と呼ばれる虫が存在しています。その害虫の一部は、スズメバチやアシナガバチの捕食対象であるものも居ます。そう、スズメバチやアシナガバチは、この害虫を食べてくれるため、害虫駆除をする役割を担ってくれているのです。
危険性の少ないアシナガバチを農作物の近くに住まわせて、害虫駆除を行ってもらうことで、農薬を使わ無い農作物を作ることも可能です。
街とハチの関係
一部のハチは害虫として駆除されている
人間が多く住む街とハチの関係はどのようなものなのでしょうか。その関係性の一つとしては、ハチは人間に危険であると判断され、害虫として駆除されています。
ハチの一部は、街のような自然の少ない場所にも適応して生息しており、そして巣に近づいた人間を敵として襲うことがあります。それに対して人は、できるだけ襲われないようにしようと、ハチを駆除するようになりました。
自然において重要な役割を果たしているハチも、街に生息しているものは、人間にとって邪魔者であると扱われることもあるのです。
都会と共存するミツバチ
街に出現するハチの一部は害虫として駆除されますが、一方で街と共存して、都会の中で人間とともに生息しているハチも居ます。その代表格がミツバチです。
ミツバチは温和な性格であると同時にハチミツを作る能力があることから、好んで養蜂が行われています。その養蜂が、都市部でも盛んに行われているのです。このように、人間に利益をもたらすミツバチは、阻害されるのではなく歓迎される側のハチになっています。
ハチと街は、種類によっては好意的な関係であったり、逆に害があるとして悪い関係であったりするのが実情です。
まとめ
ハチの存在は、食物連鎖において比較的上位に位置すること、そして植物の生殖を助ける存在としても重要な役割を持っています。また、人間社会においても、特定の種類は有益な働きをしてくれます。
害のあるハチも居ますが、トータル的な視点で見てみると、ハチが私たちの社会だけではなく、自然環境の中でも居なくなっては困る昆虫だと考えられるでしょう。
はちみつを作ってくれるミツバチについて詳しくは→ミツバチの世界について知ろう